ピッグファーマーからソーラーファーマーへ

大きな屋根は、第三の収益源



 ドイツの養豚地帯は、オランダとの国境沿い、北部地域に集中しています。この地域は、土地が平坦で、農場も結構広い面積の耕地も持っています。また、屋根の傾斜をきつくした大きな畜舎もそれぞれが持っています。豚だけでなく、養鶏、酪農、肉牛の飼養も盛んで、これら畜舎の屋根のほぼ80%近くに太陽光発電を行うソーラーパネルがつけられています。

 これは、ドイツが脱原発、化石エネルギーによる発電から風力、太陽光などを主体とした自然エネルギーによる発電に大きく舵を切ったことにあります。そのため政府は、@発電用ソーラーパネルの新設に多大の補助金をつけたA発電した電気は一般に売る電力単価の約倍で購入する枠組みを創設したBこの@Aの事業を農村部にターゲットを絞り展開しました。

 これは、風力発電に次ぐ自然エネルギーブームを生み出し、南向きの広い屋根面積を持つ畜産農家では、こぞってソーラーパネルをつけてきました。この現象を太陽光発電に使うソーラーパネルをもじり「ソーラーファーマー」という呼び名がつけられました。もっとも、補助金や買電と売電にかかる財政負担が増加するのに伴い、政府も当初ほどは、積極的ではなくなってきたため、今は一段落してきたといわれます。しかし、このような、エネルギ問題に対する関心は、新たな収益源として、畜産農家の関心を集めてきています。




▲1階が牛小屋、屋根裏の2階が離乳子豚舎になっているドイツの畜舎。その屋根の上には、ソーラーパネルが、びっしり張られている。農家は、この発電で生まれる電力を売ることで、安定した収入の確保をめざしている。





▲昨年完成した500頭は入る繁殖豚舎。設計段階からソーラーパネルが設置されていたと聞く。