|
黒豚の中の黒豚
BB(ブリティシュバークシャー=英国黒豚)は、
BA(ブリティシュエアーライン)で、成田にやってきた!
本物の黒豚のルーツは、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)
黒豚というと、「松坂牛」と同じくらいのブランドとなっている「鹿児島黒豚」。しかし、この「鹿児島黒豚」は、明治以降 種畜改良のため輸入されたブリティシュバークシャー(英国黒豚)と薩摩の在来豚、島豚などが、交配され一定の形質となり、作出されたものです。
つまり、鹿児島黒豚は、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)無しには、生まれようもなく 鹿児島の著名な黒豚生産者も、鹿児島黒豚の基本は、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)であるとことを認めています。
黒豚の代名詞 「六白(ろっぱく)」は、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の遺伝形質から来ている
六白とは、黒豚の特徴として、口元、4本の足の先端、及び尾の先の6か所にきっちりした、白色がでていることです。
この、六白が、綺麗に出ることこそが、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の最大の特徴です。成長が早いが、肉質が悪いことで、敬遠された、アメリカ産の黒豚(アメリカンバークシャー)などは、この、六白が、ばらばらに、乱れてでるので、外見で、違いがわかります。
また、黒豚が本物であるかどうかを、判定する遺伝子の基準となっているのは、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)のもつ、遺伝子型です。
ブリティシュバークシャー(英国黒豚)のすぐれた肉質
ブリティシュバークシャー(英国黒豚)は、タイプとしては、その肉質で同様に注目されている中ヨークシャーと 同じ中型種で、野外での放牧飼育も出来る強健な豚です。そのかわり、脂肪は、厚めになり成長は、やや遅れますが、やわらかな肉と、美味しい脂肪と筋肉内への適度な脂肪のサシが生まれます。
ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の体型は、幅のある、上体を細い4本の足で支えています。重い上体を細い脚で支えることになるので、その筋肉は、細かく、柔軟性がないと、つまり、独特の柔らかさとキメの細かさがないと、体を支え切れないのです。皮膚の柔らかさ、毛の薄さも、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の特徴で、黒毛和牛と同様に、肉の柔らかさ、脂肪の美味しさを保証するものです。
ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の普及が、いまいちだつた理由
このような、すぐれた遺伝的能力を持つブリティシュバークシャー(英国黒豚)でしたが、その普及のスピードは、遅遅として進みませんでした。
養豚の主流は、発育も良く、繫殖能力の高い、交雑した白系の雌豚に有色の茶色のデュロックという雄豚を交配し雑種強勢の力を利用し生産性を最大限上げるという方向です。
一方、黒豚は、同じ形質どうしの交配=純粋繁殖のため、繫殖、成長の早さなどの遺伝的能力は、雑種より劣ります。とくに、成育が遅れることを、カバーするために、アメリカンバーク(米国黒豚)が、導入され、国内の黒豚と交配され成育は、「改善」されましたが、前述した肉質のキメの粗さで、不評をかいました。ようやく、この10年ほどで、グルメブームの影響で黒豚の評価も高まってきましたが、黒豚の生産地 英国では、20世紀末から、相次いで豚の海外への輸出ができなくなる、家畜の伝染病が発生、その、解除に5年余りを、要したことがあります。
また、イギリスでの、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の種雌豚も400頭程度にまで、減少、自然保護団体の助成で、頭数の維持がやっとという状態でした。この間、日本にのこっていた、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)も、新しい豚が入ってこないこともあり、徐々に血液が、薄まり、2005年までには、ほとんど、固定した血液としては、残っていない状態にまでおいこまれ、その供給は細る一方でした。
2005年8月 BAに乗って13頭のブリティシュバークシャー(英国黒豚)
成田に到着
2004年暮れ、イギリスからの種豚輸入が解禁されるのをまって、有限会社
黒豚振興エージェンシーが、3回にわたる、イギリスでの3回の選抜のすえ、日本への、輸入を敢行しました。連れてきたのは13頭の100%のブリティシュバークシャー(英国黒豚)で日本での復活の第一歩が、ここ千葉の成田であったことが、「千産千消」の展開に大きく影響しました。特に検疫には、1月近く要しましたが、その間の千葉の養豚生産者、業者さんからのご助力には、多大のものがありました。
しかし、黒豚の本場は、九州であり、生産拠点の確保の観点から、同年、大分県清川村に、繫殖農場 及び 遺伝子の普及を目指し、人工授精センターを開設しました。
認められた、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の 能力
2005年 清川BBファーム(BBは、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の略)の開場以降、生産は、順調に推移し、新しい血液ということで、九州では、かなりの、高い評価を得ました。
まず、2007年から昨年11月にまでに4回開催された、鹿児島での「黒豚」原種豚のセリで、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)の血液が50%以上入った黒豚が、連続して、最高値で、落札されました。
また、大分県内での、黒豚の血液に、かなり、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)のものが入り、肉質の良さも手伝い、「鹿児島黒豚」と互角の取引条件で流通できるまでになりました。
さらなる発展を求め千葉へ
2008年6月大分の農場を閉鎖、移転し、千葉にブリティシュバークシャー(英国黒豚)生産農場を移しました。なによりも、その動機となったのは、(有)サンライズファームの支援と、放牧養豚を展開したいという、思いでした。
千葉は、養豚県で、基盤ができています。餌も安く、消費地に近いところから、販売でも本物で勝負できるところであると思いました。
2008年夏には、離乳子豚の放牧、拘束なしの分娩、授乳豚の複数同時飼育などの、チャレンジを行い、公開してきました。
今後は、リサイクルと結びついた、未利用飼料の使用、特に ブリティシュバークシャー(英国黒豚)独自の味を追求するべく、大麦、小麦、パン粉などを加えた、仕上げ用の餌の開発を目指します。これにより、サツマイモ添加がキャッチフレーズの鹿児島黒豚とは、一味違った、ブリティシュバークシャー(英国黒豚)のノーブルな、洗練された味をお届けすべく、努力しています。
この夏には、野外での放牧分娩も行い公開していきたいと思います。
ブリティシュバークシャー(英国黒豚)は、やさしい性格で、人によく馴れます。そして、なによりも 洗練された世界中で認められたおいしい肉を、作り出します。この、親愛なる豚達を千葉をはじめ、消費者の皆様に観ていただき、より、近くにブリティシュバークシャー(英国黒豚)を感じていただければ、幸いです。
(文責 (有)黒豚振興エージェンシー 山下哲生)
|
|