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飼養頭羽数・飼養衛生管理状況報告など義務化
「家畜伝染病予防法」改正、7月1日施行
家畜伝染病予防法を改正することとされ、「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(平成23年法律第16号)」が2011年3月29日成立し、4月4日付けで公布、7月1日付けで施行が予定されている。
今回の改正では、我が国における家畜防疫の進展、関係家畜伝染病の我が国周辺地域等における発生状況等疫学事情を踏まえて、「特定の家畜伝染病」として、@豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザが追加され、A鼻疽が削除された。
また今後、より的確な防疫推進のため、@従来、防疫指針に記載すべき項目の一つとして包括的に記述されていた「検査、消毒」が、要約すれば「患畜又は疑似患畜であるかどうかを判定するために必要な検査」、「発生予防及びまん延防止に必要な消毒」に具体表記されるとともに、A家畜伝染病のまん延を防止するため緊急の必要がある時は、農林水産大臣は家畜の種類並びに地域及び期間を指定し、その家畜伝染病について、発生の状況に応じて必要となる措置を実施するための指針(特定家畜伝染病緊急防疫指針)を作成、公表し、都道府県知事等はこの指針に基づいて適切に役割分担し、より密接な連携を保ちながら、まん延防止措置を講ずることとされた。
家畜以外の動物から家畜に家畜伝染病が伝染するおそれがある場合、@家畜以外の動物における発生の状況等を把握するための検査(第5条)、A家畜以外の動物(死体を含む)がいた場所等の消毒(第10条)、B前記Aの場所等の付近を通過する車両の消毒の実施(第10条)の規定が追加された。
飼養衛生管理基準については、@飼養規模の区分に応じたより具体的な基準を定め、A的確・迅速なまん延防止のためには予め埋却地を確保しておく必要があるとの教訓から、この基準に埋却等が必要となる場合に備えた土地の確保等の措置を含めるとともに、B基準は設定が目的ではなく、家畜の所有者が家畜の飼養管理に基準を的確に反映させ、防疫の実効を上げることが重要であることから、家畜の所有者は、毎年、家畜の飼養頭羽数と家畜の飼養衛生管理状況を報告することが義務づけることが規定された。また、口蹄疫の疑い事例をより適切な「ふるい」にかけ見逃すことがないよう、家畜が農林水産大臣が家畜の種類ごとに指定する症状を呈している場合も届出なければならないとする届出義務規定の強化が行われた。
今回の改正では、ワクチン接種家畜の殺処分を念頭に置いた「患畜等以外の家畜の殺処分」が口蹄疫対策特別措置法から取込、追加されたものである。この殺処分を実施する場合、実施する必要がある地域とその地域で殺処分する必要がある家畜をそれぞれ指定地域、指定家畜と指定することができるとされている。
また畜舎等の所有者は、消毒が終了するまでの間、畜舎等及びその敷地の出入口付近に消毒設備を設置し、また消毒設備が設置されている畜舎等の敷地から車両を出す者は、あらかじめ、この消毒設備を利用して、車両を消毒しなければならないとする義務規定が追加された(倉庫等の所有者の場合も同様)。
さらに、@都道府県知事が、家畜伝染病の急速かつ広範囲なまん延を防止するため特に必要があると認める場合に車両等の消毒設備を設置し、Aこの設置場所を通行する者は、この消毒設備による身体及び車両の消毒を受けなければならないとする規定が追加された。
海外から日本に入国する者に対する質問等については、家畜防疫官は、@外国からの入国者に対して、その携帯品のうちに、監視伝染病が現に発生している外国の地域において使用された物品であって消毒することが必要であると認められる要消毒物品が含まれているかどうかを判断するため、必要な質問を行うとともに、必要な限度において、その携帯品の検査を行うことができる、Aこの検査の結果、入国者の携帯品のうちに要消毒物品が含まれていた時は、必要な限度において、その要消毒物品を消毒することができるとする規定が追加された。
この質問等の事務を円滑に行うため、動物検疫所長は、外国から入港した船舶や航空機の所有者かその長又は港や飛行場の管理者に対し、前記(1)の質問に関する書類の配布、検疫の手続に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができるとし、これに伴い協力を求められた所有者等はその求めに応ずるよう努めなければならなする規定が追加された。
今回の改正では、家畜の伝染性疾病の病原体をより適切に管理することにより、家畜の伝染性疾病の発生予防とテロ対策に資するため、@家畜伝染病病原体の所持の許可、A家畜伝染病病原体の譲渡し及び譲受けの制限、B家畜伝染病発生予防規程の作成等、C取扱い施設に立ち入る者に対する教育訓練、D取扱施設の技術基準への適合、E保管、使用等の場合の技術基準に従った発生予防・まん延防止措置の実施、F災害時の応急措置、G届出伝染病等病原体の所持の届出、等の規定が新たに追加された。
また今回の改正では、牛疫、口蹄疫、豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ等については、その病性に鑑み早期の発見/通報の徹底に資するため、前記の手当金のほか、一定の額を特別手当金として交付し、A発生予防・まん延防止対策に問題があった者等には交付すべき手当金(特別手当金を含む)の全部若しくは一部を交付せず、又は既に交付した手当金の全部若しくは一部を返還(第58条)、B「まん延防止」の項の「と殺、殺処分」の指定家畜の殺処分の措置を受けた者に対して、その生産に要する費用その他の通常生ずべき損失として政令で定める損失を補償(第60条の2)、C移動制限等による売り上げ減少等の補てんの対象を牛、豚を含めて拡充(第60条)の規定が追加された。
さらに、@都道府県知事は通行する者を消毒するために消毒設備を設置し、消毒を実施する規定が追加されたことに加え、A汚染した(おそれがあある)畜舎、倉庫等にあっては基本的にその所有者が家畜防疫員の指示に従って実施するとされる一方、この指示に代えて自ら実施することができるとされており、昨年のような大規模発生では自ら実施する消毒に多額の経費を必要とすることから、農林水産大臣の指定する消毒に要した費用(前記の薬品と衛生資材の購入費を除く。)の2分の1を負担することとされた。また、指定家畜の焼却又は埋却に要した費用については、その全額を交付するとされた。
政府は、患畜又は疑似患畜が発見された場合において家畜伝染病の発生後の初期の段階からそのまん延の防止のための措置が的確かつ迅速に講じられるようにするため、予備費の計上その他の必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならないとの規定が追加された。
口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえて、第2章「家畜の伝染性疾病の発生の予防」において消毒設備の設置等の義務、家畜の所有者が遵守すべき飼養衛生管理基準の具体化等が規定されることに対応して、自分の畜産経営は自ら守り、またその自らの衛生管理の良否が自分も構成要員である地域のバオセキュリティを大きく左右するという基本的認識を改めて確認、徹底を図るため、これまでの規定に「家畜の所有者は、その飼養している家畜につき家畜の伝染性疾病の発生を予防し、当該家畜に起因する家畜の伝染性疾病のまん延を防止することについて重要な責任を有していることを自覚し、」との一文が追加された。
家畜伝染病予防法には、家畜から人に伝染するおそれが高い家畜の伝染性疾病の発生予防・まん延防止措置について厚生労働省との連携を図る規定が設けられている。今回の改正では、高病原性鳥インフルエンザ等の発生を念頭に置いて、家畜の伝染性疾病のうち家畜伝染病が野生動物から家畜に伝染するおそれが高い場合の発生予防・まん延防止措置について環境省と連携を図る規定が追加された。
また、これまでの口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザの発生の際には省庁のほか、都道府県、防衛省、警察庁、国土交通省等との緊密な連携のもとまん延防止措置が実施されたが、この連携に法的根拠を持たせるため、農林水産大臣及び関係行政機関の長は、この法律の施行に当たっては、家畜の伝染性疾病の発生の予防又はまん延の防止に関する事項について、相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならないとの規定が追加された。
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